概要

1956年

250 GT Berlinetta

後に伝説的な存在となる一連のベルリネッタは、まずこのモデルから始まりました。サーキットに出かけるのに最適なだけでなく、そのままレースに出場して勝つことができるパフォーマンスを備えてたのです。

Ferrari 250 GT Berlinetta - 1956

フォーカス・オン

Ferrari 250 GT Berlinetta - 1956

最初のモデルはスカリエッティがボディを架装、続くモデルにも同社のボディが載ることになります。250 GT ベルリネッタは過酷なレースとして有名なトゥール・ド・フランスに出場するや、その高い実力をいかんなく発揮。その結果、非公式ながらTdF(トゥール・ド・フランス)と呼ばれるようになりました。ホイールベースが200mm短い新シリーズが作られるようになると、第1世代は”LWB”あるいはロングホイールベースと呼ばれるようになりました。

続き

ストーリー

“トゥール・ド・フランス”はロードカーである250GTの中でもレース指向のベルリネッタで、GTカテゴリーの参戦を前提に設計され、1956年から1959年まで生産されました。トゥール・ド・フランスといえば自転車レースのほうが有名ですが、このモデル名はフランスで行われる自動車耐久イベントに由来します。

同イベントに優勝したメーカーには、オーガナイザーからイベント名をモデルネームの一部に使用する許可が下りたのです。1956年のイベントに優勝したフェラーリもこの名前が使えるようになりました。正式名称ではありませんでしたが、このシリーズのベルリネッタを指す名前として広く使われるようになっています。

ボディはピニン・ファリーナがデザインし、スカリエッティがアルミで造ったものです。ホイールベース2600mmのシャシーは当初、ティーポ508というコードネームで呼ばれていましたが、小さな改良が施されるにつれ数字の最後に“B”、“C”、“D”、“G”の文字が付くようになります。すべてロードカー用の奇数のシャシーナンバーが打刻され、最後にGTの文字が付きました。全体の構造も、サスペンション、ブレーキ、操向系統などの主要コンポーネントも、同時代の250GT “ボアーノ”および“エレーナ”に沿って組み立てられ、全車、左ハンドル仕様でした。

Ferrari 250 GT Berlinetta - 1956
Ferrari 250 GT Berlinetta - 1956

ボディ

生産期間中、ボディ形状は4度変更を受けています。1956年のシリーズ1は1955年の250エウローパGTベルリネッタのデザインと非常に似通っていますが、ぴんと張りつめたラインによって少し細身にも見えます。1957年の前半、ボディは最初の変更を受けました。独立したリアフェンダーラインが水平に走り、1956年モデルでは円形だったテールライトが縦長になっています。同時にラップラウンド形状のリアウィンドウがより平面に近くなり、一回り小さいプレキシグラス製に変更されます。左右のリアクォーターパネル上にはキャビンの換気用ルーバーが14本走っていますが、後方に行くに従い縦方向寸法が短くなるよう一列に並びます。

ノーズは先代とほとんど同じですが、格子パターンのラジエターグリルは奥行きが浅くなり、フロントビューが軽快な印象となっています。1957年終盤に登場した1958年モデルでフロントマスクが大きな整形手術を受けました。ラジエター開口部のデザインが変わり、フェンダーラインの変更にともないヘッドライトの位置が高くなり、その上にパースペックス製の透明カバーが付きました。リアクォーターパネル上の換気用ルーバーが3本になったことにも気付きます。多くの個体はボディ全幅にわたるバンパーを前後に付けていますが、以前は縦長のごく小さなバンパーが付いているだけでした。

“インテリム”ベルリネッタ

1959年初旬に造られたモデルは1958年モデルとほぼ同じですが、イタリア国内の灯火類に関する法規が変更になった関係でフェンダー先端部の“えぐり”に付いたカバーがなくなりました。ただし一部の輸出仕様にはライトカバーが残されています。リアクォーターパネル上のキャビン換気用ルーバーが1本になったことが目をひきます。この年、定期点検や修理のためにフェラーリ工場に入ってきた初期型のなかには、オープンヘッドライトに変更された例もあります。

1959年6月のルマン24時間では、まったく新しいピニン・ファリーナデザインのベルリネッタが登場しています。後に、2600mmホイールベースのノーマルモデルと区別する目的で、メーカー公認ではありませんが“インテリム(暫定モデル)”という通称で呼ばれることになります。2600mmホイールベースモデルに続いて登場した2400mmホイールベースのベルリネッタは、インテリムと非常に多くの共通点を持っています。1959年の終わりに2600mmホイールベースモデルが消滅し、2400mmホイールベースモデルが取って代わっています。

インテリムと、2400mmホイールベースモデルを識別する手がかりは、インテリムにはドアガラス後方のリアクォーターパネルに小さなクォーターウィンドウが備わる点です。生産期間を通じて“標準”モデルはピニン・ファリーナのデザインに従ってスカリエッティが製作しました。これ以外に、ザガートが様々なデザインのボディを、シャシーナンバー0515GT、0537GT、0665GT、0689GT、13675GTの5台に架装しています。

Ferrari 250 GT Berlinetta - 1956
Ferrari 250 GT Berlinetta - 1956

エンジン

3リッターのV型12気筒エンジンは各バンクに1本のOHCを持ち、ジョアッキーノ・コロンボ設計の“ショートブロック”が改良されるにつれ社内コードネームはティーポ128、 128B、 128C、 128Dと変わっていきましたが、73mm x 58.8mmのボア・ストロークから得る2953ccの排気量は一貫して変わりませんでした。プラグを“V”の内側に配した点も、ツインチョークのウェバー36DCL3もしくは36 DCZ3キャブレターを3基ずらりと並べたレイアウトも踏襲されています。点火は2基のコイルが受け持ち、ディストリビューターはエンジンの後方にマウントされています。公表出力数値は260bhp。このシリーズの最終型にはプラグをVバンクの外側に配した3リッターV型12気筒ティーポ128DFエンジンを搭載した仕様も存在します。エンジンは4速オールシンクロメッシュのギアボックスと組み合わされました。当初、シフトレバーの位置はセンターマウントとオフセットマウントの2種がありましたが、1958年に改良型ギアボックスが登場したのを機にセンターマウントが標準になっています。ギアボックスを出た駆動力はプロペラシャフトを介してリジッドリアアクスルに伝えられます。なお、最終減速比はいくつかの選択肢が用意されていました。

250GTコンペティション・ベルリネッタは素晴らしい成績を残しました。トゥール・ド・フランスでは1956年から59年まで4年連続優勝、タルガ・フローリオでは1957年に優勝、1959年のルマンではGTカテゴリーで優勝しているのです。4年もの間、GTクラスでは無敵でしたが、それもこのモデルがプロとアマチュアドライバーが獲得した幾多のクラス優勝と総合優勝のほんの一部に過ぎないのです。

高精細「250 GT ベルリネッタ・ロングホイールベース」の厳選ベスト・ショット。フォトギャラリーでは、この1956年型フェラーリ・モデルの細部および最も重要部分とともに車輌の際立つ特徴をお愉しみいただけます。

高精細「250 GT ベルリネッタ・ロングホイールベース」の厳選ベスト・ショット。フォトギャラリーでは、この1956年型フェラーリ・モデルの細部および最も重要部分とともに車輌の際立つ特徴をお愉しみいただけます。

主要諸元

V12  エンジン

タイプ フロント縦置き・60度V型12気筒
ボア・ストローク 73 x 58.8 mm
1気筒あたり排気量 246.10 cc
総排気量 2953 cc
圧縮比 8.5 : 1
最高出力 176 kW (240 hp) at 7000 rpm
リッターあたり出力 81 hp/ℓ
最大トルク -
バルブ作動システム SOHC 1気筒あたり2バルブ
燃料供給 ダウンドラフト型ツインチョーク・ウェバー 36 DCL3 キャブレター(トリプル)
点火装置 1気筒あたり1プラグ、2コイル
潤滑システム ウェットサンプ
クラッチ ツインプレート
フレーム スチール製チューブラーフレーム
サスペンション 前 独立懸架、ダブルウィッシュボーン、リーフスプリング、油圧式ショックアブソーバー
サスペンション 後 ライブアクセル、半楕円スプリング、油圧式ショックアブソーバー
ブレーキ ドラム
トランスミッション 前進4段+後進1段
ステアリング ウォーム&セクター
タンク容量 100ℓ
タイヤサイズ 前 6.00 x 16
タイヤサイズ 後 6.00 x 16
タイプ 2座クーペ
全長 -
全幅 -
全高 -
ホイールベース 2600 mm
トレッド 前 1354 mm
トレッド 後 1349 mm
車重 1050 kg(乾燥重量)
最高速度 252 km/h
0-100 km/h -
0-400 m -
0-1000 m -